- トピックス社長のブログ中教審総会で発言「今後の高等教育の将来像の提示に向けた中間方向」について―地方創生は新しい価値の創造から
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「地方創生が目指す社会」の説明の中で、「産業・社会こそが知識集約型にシフトしつつあり…都市ではなく地域が産業の拠点となる可能性が高まるとも言える」と述べられています。
これは産業の拠点となることが都市部だけではなく「地方でも可能」ということを示唆しているものだと思うのですが、地方創生は「地方でも可能」ではなく、「地方でこそ可能」なことを目指さなければ実現は難しいと思います。
同じ文章の中に「第三次産業間でもデータ活用による高付加価値が進むことによって、全国各地において地方のポテンシャルを引き出すことが期待される」とありますが、これも既存の産業から地方創生をイメージしたものです。しかし今、地方に必要なものは、既存の産業のリニューアルではなく、新しい価値の創造です。
そのキーワードのひとつに「文化・伝統」があるのではないでしょうか。文化や伝統は守るもの、保存するものと捉えられがちですが、その価値を発展させ、そこに新しい可能性を見出してこそ意味があります。そこから生まれる日本人としての感性がなければ、AIやソフト開発など、クリエイティブな仕事も、いずれ世界と戦うのにも限界が来ることになるのではないでしょうか。
その意味で、新しいSGHにリージョナル型が設けられたことは深い意味があります。応募要件には、「地方の課題を世界の視点で解決する」といった項目が加えられると聞いているので、そこにぜひ「地域の資源を世界の視点で発掘し、磨いて世界に発信する」という要件も加えていただけないでしょうか。それによって、高校段階から、地域が守ってきた文化や伝統にどう新しい息吹を加えられるかを考える機会が与えられることになります。それが小さな地方創生につながり、やがて日本のグローバル化に大きな影響を与えることを期待したいと思います。(一部編集)